HDRって必要なの?
HDRはHigh Dynamic Rangeの略。何の意味なんか良くわからないよね(^_^;)
どんな意味があり、このHDRは使えるの?使う必要あるの?のコラムです
まず、カメラで言っているダイナミックレンジとはカメラは光を記録するものであるだけにカメラのダイナミックレンジとは光のダイナミックレンジのことであり、光の量的な範囲のことです。光の明るさはよくlux(ルックス)という単位であらわされてますが、このluxの範囲をここではカメラのダイナミックレンジと言ってますのだ。
なら、luxのダイナミックレンジってどれぐらいあるのか?ですが、、自然界には太陽光~星空まで明るさの範囲がありまして、太陽光=>10万lux, 星空=>0.01luxなんだそうだ。
そうすると、太陽光は星空の何倍明るいのだというと、 太陽光:100000lux÷星空:001lux=10000000(1千万)倍ということになる。これをダイナミックレンジを表現する式にあてはめると以下になる
ダイナミックレンジ式=20xlog10(~倍)
なのでダイナミックレンジ=20xlog10(10000000)=20xlog10(10^7)=20x7=140単位はdB(デシベル)。何と140dBもの広さを持つんだけど、私達人間の目はこのダイナミックレンジの光を見分けられる!
けれど、デジカメのダイナミックレンジは140dBもなくたったの70dBしかないんだ。
上図では便宜上、自然界の明るさの中央に対しデジカメの70dBの矢印を書いてるけど、星空から倉庫までの70dBとしても良いし、倉庫~太陽光までの70dBとして書いても良い。自然界の140dBのどの部分の70dBをデジカメに撮りこむのかはデジカメのF値(絞り値)やシャッター速度などのカメラ側設定でいろいろ変えられるからね。ただ、それらをどう設定したとしてもデジカメは所詮光を撮りこめる範囲は70dBしかないという事実が大事なんだ。つまり自然界の光の幅すべてを撮りこめれば何ら問題にしないのに、そこまで技術が追い付けてないんだって知ってた?
★そこで登場するHDR機能★
自然界の明るさ範囲=140dBを、それよりも狭いダイナミックレンジ(70dB)で撮りこもうと考えられた技術がHDR機能。やりかたは、「デジカメ(70dB)の撮りこみを複数回に分け撮りこみ合成することで140dBを再現しようとするもの」である。当然その複数回は、違う明るさ範囲を撮りこんだ複数回画像を合成することである。例えば上の図で言えば星空(≒0lux)~倉庫(≒100lux)の70dB範囲を撮りこんだ画像と、倉庫(≒100lux)~太陽(≒10000lux)の70dB範囲を撮りこんだ画像を合成し星空~太陽までの明るさ範囲を漏れなく撮りこもうとする技術だ。
★HDRの効果★
HDRの効果は、人が目で見えている「範囲」が見えることになることだ。HDRを使わないと、目で見てると見えるのにHDR使わないとそれが見えない(識別できない)状態になるので違和感をおぼえると思う。例えば、非常に明るい部分や非常に暗い部分が目でみれば見分けられるのにHDRを使わないデジカメで撮影したものでは「見分けられない」ことになるんだ。
★HDRの欠点★
HDRの欠点は、複数回に分け画像を撮りこむことから、この複数回の間で
・デジカメ側がブレてしまう(例.手振れ等)場合や
・被写体が動いてしまう(被写体ブレ)
が発生すると、それらを合成することが前提のため合成結果「画像ブレ」がわかりやすくなる
ということが欠点である。特にその合成されたブレ画像は、動画ならわかりにくいが静止画用途では、静止状態でモニターで見たりプリントして見たりするため気になる場合が多い。デジカメ側のブレ抑圧は、手振れ補正機能を使うや三脚等でカメラ固定するなどで工夫する。また被写体ブレ、手振れ両方に効果あるのはなるべく高速のシャッターを切ることだ。
★HDRって使えるの?★
さて、HDRの理屈がわかったところで、そのHDRって実際使えるの?
という素朴な疑問に完全なる「個人的な私見」でコメントします。
①HDRが使える用途
・有機ELモニターなど広いダイナミックレンジを持つモニターで見る場合
有機ELモニターなど出始めてきてて100万:1のコントラストをうたいにしてるものもある。100万:1はDynamicRange(dB)=20xlog10(10^6)=120dBのため自然界の明るさ範囲の140dBに匹敵するダイナミックレンジがあるので、70dBのデジカメをHDRで140dBに拡大したらそのダイナミックレンジを無駄にすることなく再現でし視認できるので意義があると言えます。
・センシングなどの目的で使う場合
たとえば、わかりやすいのは車載カメラ。自動車にとりつけられ、自動運転など人の「目の認識」と同じようなことを車載カメラで行おうとした場合。このような場合は、「人が目で見えているものは車載カメラでも当然見えている=センシング」していることを前提に自動運転に必要な様々なものを「識別する」につなげる。そのため人の目が140dBを識別できるなら、それと同じ以上のダイナミックレンジが車載カメラには要求されるのである。
②HDRを使って意味があるか??と思う用途
・狭いダイナミックレンジの表示で見る時
たとえば、プリントして印刷したものを見る場合はどうなの?と思ってしまう。
その理由を今から記載します。そもそも写真のDR(DynamicRange)は25dBしかない!
プリントしたものは、どこまでいっても自分で光を発光してなくて、室内照明や屋外太陽光など別にある光源の光がプリント紙に「反射」して人の目に入ってくる。そのため容易に想像できると思うけどダイナミックレンジは狭くなる。そのためデジカメの70dBで「すら」表示できない。というか上図のようにデジカメの70dBの一部の25dBがプリントされるのだ。これをもう少し詳しくみてみる。
上の写真はデジカメで撮りこんだ70dBのダイナミックレンジの広い画像の中央の明るさ25dBをプリントした画像です。普通はこのようにプリントされます。中央から25dBプリントした方が違和感ないからです。というのは、例えば明るい側から25dBをプリントしたらどうなるでしょうか?
明るい側より25dBがプリントされるのだから、暗い側の画像は表示されずになるためたとえば画像右下にある砂浜は砂浜なのかなんだのか識別できない。また太陽の中心あたりの明るい部分は、諧調差が良く表示され、美しいグラデーションになっていることがわかる。
ではその逆で暗い側から25dBプリントしたらどうなるでしょうか?
暗い部分の25dBがプリントされるのだから、明るい部分はプリントで表現されなくなる。その結果この写真のように今度は明るい太陽が全く見えないプリント写真になる。しかし暗い部分の右下の砂浜は良く視認できるようになる。
まとめ
a) 自然界は140dBのダイナミックレンジがあり人の目はこの範囲を視認できる
b) デジカメは70dBのダイナミックレンジしかない
c) 写真プリントはさらに狭く25dBしかない
d) 写真プリントはデジカメ70dBのどの部分の25dBをプリントするかで見え方が全然違う
良くプリントした写真を見て、「これって見た目と同じ写真なの?」と聞かれることがあるが、上記のa)~d)を知ってれば「見た目とは違います。見た目と同じ表現が出来ないので。。」になります。で、言いたいのは、ダイナミックレンジがデジカメの70dBより狭い表示装置を使う場合は、このように見た目通りの表示が出来ず割り切り表示になるということが現状な中で、、さらに話を戻してHDRで140dBまでデジカメダイナミックレンジを広げても広げなくても所詮25dBしか表現されないので、意味があるのかということになるように思う。
また、もう1つのやりかたは、デジカメのダイナミックレンジをプリントの25dBに全部入るようにする方法もある。その結果は以下のようなものだ。太陽の明るい部分も右下砂浜の暗い部分も両方見えます。けど、何となくのっぺりした写真じゃないですか? そうなんです。HDR画にするとデジカメの70dBある明るさ変化を、25dBの狭い明るさ変化に変換するので明るい部分と暗い部分の間の明るさ変化が「粗く」なります。そのため見た目で絵画的な平面的な画になってしまいがちです。
そのため、HDR機能をダイナミックレンジの狭い表示装置で表示してもあまり意味がないのではないかと思うのが個人的な意見。但しHDR画という絵画的手法として人気があるよう。HDR画は例えば山下達郎のレコードジャケットなどでも有名な鈴木英人さんのような画風になる。
↓ HDR画
↓ 鈴木英人さんの画風
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